昼なお暗い密林の中、素裸、素手、素足、武器も衣服も食料も水も与えられず逃げ惑う剣士。股間を湿っぽい風が吹き抜ける。
敵の襲撃ペースが急に速くなり、休むまもなく次から次へと襲いかかって来る。「エイ、ヤァッ、トオッ」と剣士は次々に応対して剣を振るう。息は荒くなり、汗は体をしたたり落ち、額の汗が目にしみる。手の甲で汗を拭う間も敵の襲撃は終らない。そして、やられはしないが、敵を倒す事もできないのだ。
周りの密林から敵の気配が消えた。剣士はほっとして緊張を解いたが、まだ逃げおおせた訳ではない。剣は手に入ったが、一糸まとわぬ素裸のまま、草履ひとつなく、素足のままだ。水も食料もなく、逃亡以来なにも口に入れてはいない。先ほどの戦いで大分汗を流して、喉の渇きを感じているが、周りに水源の気配はみあたらない。とにかく、水を手に入れなければ。剣士は密林の中を探るように歩き出した。敵は気配は消しているが、距離をおいてこちらを監視している筈、油断はできない。
再び、切れ目無い敵の攻撃が始まった。剣士は巧みに剣で捌くが、切られなくても敵を倒す事はできない。「これは・・・攻めを見切られている・・・」剣士は焦ったが、踏み込んでも敵は巧みに身をそらし、別の敵がかかって来るので追う事もできない。「しまった・・・」
「来るな」と体勢を立て直した剣士は愕然とした。「体が重い・・。」朝からの飲まず喰わずの逃亡に続いてのこの休みの無い戦い、疲労は極限に達していた。全身が鉛のように重く、手足の筋肉の動きが鈍い。もう少しは気力で持ちこたえられるだろうが、もはや限界は明らかだった。喉の渇きは極限に達していた。二の腕の汗をなめたが生乾きになっていた。塩が甘く感じられた。その時、周りで敵が動きだした。
最後の気力を振り絞って剣を構える剣士だが、周りの敵から見ても限界は明らかだった。
「さあ、捕まえてやるぞ、剣士殿。首領様はお前のやる事位、すべてお察しだったのだよ。」
悪党の笑い声が上がる。
「その剣も、首領様の指示でお前の通りそうな所に置いて置いたのさ。あんな所にそんな剣が落ちているはずが無いだろう。おまえはまんまと我々の思い通りに動いたのさ。」
剣士は思わず剣を握り直した。悪党の含み笑いが聞こえる。「おのれ・・・」
剣を取っては無敵の正義の剣士が敵に捕まり、武器も衣服も取り上げられたあげく、密林でのマンハンティングゲームのターゲットにされるという大ピンチの妄想です。こういう「正義の味方のピンチ」が好きで、いつも妄想にふけっております。まずは密林を全裸でさまよう主人公。